間質性肺炎とは?症状・原因・検査・治療について

「間質性肺炎」と聞くと、「肺炎の一種だから抗菌薬を飲めば治る病気」と思われるかもしれません。

しかし、間質性肺炎は、一般的な細菌性肺炎とは異なる病気です。

一般的な肺炎では、細菌やウイルスなどによって主に肺胞の中に炎症が起こります。一方、間質性肺炎では、肺胞の壁など、肺の組織に炎症や傷害が起こります。

炎症や傷害が続くと、肺の組織が硬くなる「線維化」が起こることがあります。肺が硬くなると、肺を十分に膨らませにくくなり、酸素も取り込みにくくなるため、息切れや咳が起こります。

AI技術が胸部X線画像を解析する画像
AI技術が胸部X線画像を解析する画像

間質性肺炎とは?

肺には、ブドウの房のような小さな袋である「肺胞」が無数にあります。肺胞の周囲には非常に薄い壁があり、ここで酸素と二酸化炭素の交換が行われています。

間質性肺炎では、この肺胞の壁などを含む「間質」に炎症や傷害が起こります。

炎症が続くと、肺の組織が線維化して硬くなることがあります。

肺が硬くなると、肺を膨らませにくくなるだけでなく、酸素を血液中に取り込む能力も低下します。そのため、病気が進行すると、歩いたり階段を上ったりしたときに息切れを感じるようになります。

ただし、間質性肺炎にはさまざまな種類があり、自然に改善するものから、徐々に線維化が進行するものまで、経過は大きく異なります。

一般的な肺炎と間質性肺炎はどう違う?

名前に「肺炎」とついていますが、一般的な肺炎と間質性肺炎は、病気の仕組みも治療も異なります。

一般的な肺炎は、細菌やウイルスなどの感染によって肺胞の中に炎症が起こることが多く、抗菌薬などによって治療します。

一方、間質性肺炎では肺胞の壁などに炎症や傷害が起こり、原因もさまざまです。原因や病型によって、ステロイド薬、免疫抑制薬、抗線維化薬など治療方法が異なります。

そのため、「肺炎だから抗菌薬を飲めば治る」という病気ではありません。

間質性肺炎にはどのような種類がある?

間質性肺炎は、一つの病気ではありません。

原因や肺に起こっている変化、病気の経過などを総合して診断します。

代表的なものには、次のような病気があります。

・特発性間質性肺炎:原因を特定できないもの
・膠原病に伴う間質性肺疾患:関節リウマチなどに伴って起こるもの
・薬剤性肺障害:薬剤が原因となって起こるもの
・過敏性肺炎:カビや鳥の羽毛などを繰り返し吸入することで起こるもの
・じん肺などの職業性肺疾患:粉じんなどの吸入によって起こるもの

このほかにもさまざまな種類があります。

特発性間質性肺炎とは?

検査を行っても明らかな原因が見つからない間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と呼びます。

特発性間質性肺炎にはいくつかの病型があり、その中で特に重要なのが「特発性肺線維症」です。

特発性肺線維症(IPF)とは?

特発性肺線維症(IPF)は、原因を特定できないまま、肺の線維化が進行していく病気です。

以前は「慢性・特発性・通常型」という3つの言葉を組み合わせて説明されることがありましたが、現在は、胸部CTの画像所見や病気の経過、ほかの原因がないことなどを総合して診断します。

特発性間質性肺炎の中では、特発性肺線維症が最も多い病型です。

特発性肺線維症では、肺の線維化が徐々に進行することがあります。ただし、進行の速さには個人差があり、長期間安定している方もいます。

間質性肺炎の原因

間質性肺炎の原因はさまざまです。

膠原病

関節リウマチ、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群などの膠原病に伴って、間質性肺疾患が起こることがあります。

そのため、間質性肺炎が見つかった場合には、関節痛や皮膚症状などの有無を確認し、必要に応じて血液検査を行います。

薬剤

抗がん剤、抗菌薬、抗不整脈薬、免疫治療薬など、さまざまな薬剤によって肺障害が起こることがあります。

薬剤が原因と考えられる場合は「薬剤性肺障害」として診断・治療します。

カビや鳥など

自宅や職場などでカビや鳥の羽毛などを繰り返し吸入することで、「過敏性肺炎」を起こすことがあります。

「自宅にいると症状が悪化する」「鳥を飼い始めてから咳が続く」など、生活環境と症状との関係が診断の手がかりになることがあります。

粉じん・職業歴

石綿(アスベスト)、シリカ、金属粉じんなどを長期間吸入することで、肺に障害が起こることがあります。

過去の仕事の内容や粉じんを吸い込む機会があったかどうかを確認することも重要です。

喫煙

喫煙は肺に大きな負担をかけます。

間質性肺疾患の患者さんでは禁煙が重要であり、また、肺がんを合併するリスクにも注意が必要です。

禁煙を希望される方は、当院の「禁煙外来」もご利用ください。

【禁煙外来】

間質性肺炎の症状

間質性肺炎の代表的な症状は、「息切れ」と「咳」です。

息切れ

初期には、階段を上ったとき、坂道を歩いたとき、重い荷物を持ったときなど、体を動かしたときだけ息切れを感じることがあります。

病気が進行すると、平地を歩いたり、着替えたり、入浴したりするだけでも息苦しさを感じることがあります。

徐々に進行するため、本人が「年齢のせい」「運動不足のせい」と思っていることもあります。

乾いた咳

間質性肺炎では、痰をあまり伴わない「乾いた咳」が続くことがあります。

ただし、長引く咳の原因は間質性肺炎だけではありません。喘息、咳喘息、COPD、感染症、肺がんなど、さまざまな病気があります。

長引く咳についてはこちらもご覧ください。

【長引く咳】

無症状で見つかることもあります

間質性肺炎は、必ずしも症状が出るとは限りません。

健康診断や、ほかの病気の検査で撮影した胸部X線やCTで、偶然肺の異常を指摘されることもあります。

「肺に白い影がある」「肺が線維化していると言われた」という場合には、一度呼吸器内科で詳しく調べることをおすすめします。

間質性肺炎の検査・診断

間質性肺炎では、「肺に白い影がある」というだけで診断することはできません。

原因、症状、病気の経過、胸部画像、血液検査、呼吸機能などを組み合わせて診断します。

胸部X線検査

胸部X線では、肺の両側、特に肺の下の方や外側を中心に、淡い陰影がみられることがあります。

ただし、X線だけでは間質性肺炎の種類や線維化の程度を十分に判断できないことがあります。

胸部CT検査

胸部CTは、間質性肺炎の診断に非常に重要な検査です。

CTでは、肺のどの部分にどのような変化が起こっているのか、肺の線維化があるのか、どのようなタイプの変化なのかなどを詳しく調べることができます。

また、過去のCTと比較することで、肺の状態が変化しているかどうかを確認することもできます。

血液検査

血液検査では、炎症反応だけでなく、膠原病を疑う自己抗体などを調べることがあります。

また、KL-6やSP-Dなどの血清マーカーを補助的に使用することもあります。

ただし、これらの数値だけで間質性肺炎の診断や進行を判断するわけではありません。

呼吸機能検査

肺活量(VC)や努力性肺活量(FVC)などを測定し、肺がどの程度膨らむことができるかを調べます。

また、肺から血液へ酸素を取り込む能力を調べる「肺拡散能(DLCO)」を測定することもあります。

これらの検査を定期的に行うことで、病気が進行しているかどうかを確認できます。

気管支鏡検査や肺生検

必要に応じて、気管支鏡を使った気管支肺胞洗浄や、肺の組織を調べる検査を行うことがあります。

ただし、間質性肺炎の患者さん全員に気管支鏡検査や肺生検を行うわけではありません。

CT画像や血液検査などから診断を絞り込める場合には、こうした侵襲的な検査を行わずに診断できることもあります。

間質性肺炎の治療

間質性肺炎は、種類によって治療方法が大きく異なります。

「間質性肺炎だから、この薬を使う」という一律の治療ではありません。

原因が分かっている場合

薬剤が原因なら原因となっている薬剤の中止、過敏性肺炎なら原因となる環境から離れること、膠原病に伴うものなら膠原病の治療など、原因に応じた治療を行います。

ステロイド薬・免疫抑制薬

病型によっては、ステロイド薬や免疫抑制薬を使用します。

例えば、器質化肺炎ではステロイド薬が有効なことがあります。

一方、特発性肺線維症では、ステロイドを単独で長期間使用する治療は標準的ではありません。

間質性肺炎の種類を正確に診断することが、治療を決めるうえで非常に重要です。

抗線維化薬

特発性肺線維症では、肺の線維化が進行する速度を抑えることを目的として、ピルフェニドン(ピレスパ)やニンテダニブ(オフェブ)などの抗線維化薬を使用します。

これらの薬は、すでに線維化して硬くなった肺を元に戻す薬ではありません。

しかし、肺機能の低下を抑え、病気の進行を遅らせることを目的とした重要な治療です。

また、特発性肺線維症以外でも、線維化が時間とともに進行する「進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PPF)」という病態があります。

このような場合にも、病気の種類や状態によって抗線維化薬を検討することがあります。

酸素療法・呼吸リハビリテーション

病気が進行して血液中の酸素が不足する場合には、在宅酸素療法を行うことがあります。

また、呼吸リハビリテーションや適切な運動療法によって、体力や日常生活の維持を目指すこともあります。

間質性肺炎は進行する?

間質性肺炎の経過は、病型によって大きく異なります。

一度肺に影が見つかったからといって、必ず進行するわけではありません。

一方、特発性肺線維症などでは、肺の線維化が徐々に進行することがあります。

また、特発性肺線維症以外の間質性肺疾患でも、時間の経過とともに線維化が進行する場合があります。

そのため、診断した時点の状態だけではなく、半年、1年といった時間の経過で、CTや呼吸機能がどのように変化しているかを確認することが重要です。

急に息苦しくなったときは「急性増悪」の可能性も

特発性肺線維症などでは、これまで安定していた状態から、短期間に急激に呼吸状態が悪化することがあります。

これを「急性増悪」と呼びます。

急性増悪では、急に息苦しくなったり、酸素の値が低下したりすることがあります。

感染症、手術、誤嚥などがきっかけになることもありますが、明らかな原因が分からない場合もあります。

間質性肺炎と診断されている方が、

・急に息苦しくなった
・急に咳がひどくなった
・発熱が出た
・普段より酸素の値が低い

といった症状を認めた場合には、早めに医療機関を受診してください。

間質性肺炎と肺がん

間質性肺炎、とくに肺の線維化を伴う病気では、肺がんを合併することがあります。

そのため、間質性肺炎の患者さんでは、定期的な診察や画像検査によって肺の状態を確認することが重要です。

また、間質性肺炎がある方が肺がんを発症した場合、手術、放射線治療、薬物療法などによって間質性肺炎が悪化する可能性があります。

そのため、肺がんを合併した場合には、肺がんだけでなく間質性肺炎の状態も考慮して治療方針を決める必要があります。

胸部X線写真を確認する医師の後ろ姿
胸部X線を確認する医師、肺がん検診や健診の一場面

日常生活で気をつけること

禁煙

喫煙されている方は、禁煙が重要です。

喫煙は肺に負担をかけるだけでなく、肺がんのリスクにも関係します。

禁煙が難しい場合には、医療機関で禁煙治療を受けることもできます。

感染症を予防する

間質性肺炎の患者さんでは、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、肺炎球菌感染症などをきっかけに、呼吸状態が悪化することがあります。

手洗い、換気、人混みでの感染対策などに加えて、年齢や持病に応じたワクチン接種について主治医に相談しましょう。

無理をしすぎない

息切れがある場合には、無理に運動量を増やすのではなく、現在の呼吸状態に合わせて活動量を調整することが大切です。

一方で、体力を維持するために、適切な運動や呼吸リハビリテーションが役立つ場合もあります。

こんな症状があれば呼吸器内科へ

次のような症状がある場合には、一度呼吸器内科でご相談ください。

・階段や坂道で以前より息切れする
・歩くと息苦しくなるようになった
・乾いた咳が何週間も続いている
・健康診断で「肺に影がある」と言われた
・胸部CTで「間質性肺炎」「肺線維症」と言われた
・関節リウマチなどの膠原病があり、咳や息切れがある
・薬を始めた後から咳や息苦しさが出てきた
・鳥を飼っている、カビの多い環境にいるなど、生活環境と症状が関係している気がする

間質性肺炎は、単に「肺に白い影がある」というだけでは診断できません。

原因を調べ、CT画像、呼吸機能検査、血液検査などを組み合わせて、どのタイプの間質性肺炎なのかを判断することが重要です。

息切れや長引く咳が気になる場合、健康診断やCT検査で肺の異常を指摘された場合は、呼吸器内科にご相談ください。

優しい表情の日本人女性医師が診察室で高齢の男性患者と微笑みながら話している様子。安心感を与える雰囲気の医療画像。
患者さんが安心できる診察のひととき – 信頼できる医師の笑顔が心を和らげます。

間質性肺炎のよくある質問

Q. 間質性肺炎は治りますか?

病型によって異なります。

原因を取り除くことで改善するものや、ステロイド治療によって改善するものもあります。

一方、特発性肺線維症のように、徐々に肺の線維化が進行する病気もあります。

Q. 間質性肺炎と診断されたら、すぐに薬が必要ですか?

必ずしもそうではありません。

病型、症状、肺機能、CT画像、病気が進行しているかどうかなどによって治療方針は異なります。

症状がなく、状態が安定している場合には、定期的に検査を行いながら経過を見ることもあります。

Q. 間質性肺炎にはステロイドが効きますか?

病型によります。

器質化肺炎など、ステロイドが有効な病気があります。

一方、特発性肺線維症では、ステロイドを単独で長期間使用する治療は標準的ではありません。

Q. 特発性肺線維症は治らない病気ですか?

現在、線維化した肺を元の正常な状態に戻す治療は確立していません。

しかし、抗線維化薬によって肺機能の低下を抑えることが期待できます。

また、酸素療法や呼吸リハビリテーションなどを組み合わせながら、病気の進行に合わせて治療していきます。

Q. 間質性肺炎があると肺がんになりやすいですか?

間質性肺疾患、とくに肺線維症を伴う病気では、肺がんを合併することがあります。

そのため、定期的な診察や画像検査によって肺の状態を確認することが重要です。

Q. 間質性肺炎でも運動してよいですか?

病気の程度によります。

適切な運動や呼吸リハビリテーションが体力の維持に役立つ場合がありますが、息切れが強い場合には無理をしないことが重要です。

現在の肺機能に合った運動量については、主治医に相談してください。

Q. 間質性肺炎はどのくらいの間隔で検査しますか?

病型や重症度、病気の進行状況によって異なります。

胸部CT、呼吸機能検査、血液検査などを定期的に行い、時間の経過による変化を確認します。

まとめ

間質性肺炎は、肺胞の壁など肺の間質に炎症や傷害が起こる病気の総称です。

一般的な感染性肺炎とは異なり、原因や病型によって治療方法が大きく異なります。

代表的な症状は、息切れと乾いた咳です。

また、症状がほとんどない段階で、健康診断やCT検査によって偶然見つかることもあります。

特に重要なのは、間質性肺炎の「種類」を見極めることです。

原因を調べ、CT画像、血液検査、呼吸機能検査などを組み合わせて診断し、その病型に合った治療を選択します。

「最近、階段で息切れするようになった」「乾いた咳が長く続いている」「CTで肺の線維化を指摘された」という方は、一度呼吸器内科でご相談ください。