HPVワクチン(シルガード9)は、将来の子宮頸がんを予防するための大切な選択です

代替えテキスト HPVワクチン(シルガード9)の子宮頸がん予防効果と副反応を解説する画像。17歳未満で接種を開始した女性の子宮頸がん発症リスクが約88%低下した海外研究と、名古屋スタディ(Nagoya Study)で24種類の症状について接種による発症リスクの有意な増加が認められなかった結果を紹介。梅が丘内科とアレルギーのクリニックでは、科学的根拠に基づきHPVワクチン接種を積極的に推奨しています。名古屋市天白区の梅が丘内科とアレルギーのクリニックでは、HPVワクチン(シルガード9)の接種を積極的に推奨しています。理由は明確です。HPVワクチンには子宮頸がんを予防する効果があり、国内外の大規模研究によって安全性についても多くの知見が蓄積されているからです。

過去の報道やインターネット上の動画を見て、副反応が心配になった方もいらっしゃると思います。不安を軽視するつもりはありません。一方で、接種後に起きた症状と、ワクチンが原因で起きた症状は同じではありません。医学では、接種した人と接種していない人を比較し、実際にリスクが増えるのかを検証します。

この記事では、子宮頸がんの予防効果、鈴木貞夫先生らによる名古屋スタディ(Nagoya Study)、実際の副反応、接種方法について、科学的根拠に基づいて説明します。

子宮頸がんは、ワクチンで予防できるがんです

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因です。HPVは珍しいウイルスではなく、性的接触のある人の多くが生涯に一度は感染するとされています。多くの感染は自然に消失しますが、一部では持続感染から前がん病変を経て、長い時間をかけて子宮頸がんに進行します。

日本でも毎年約1万人が子宮頸がんと診断され、多くの方が命や妊娠・出産に関わる重大な影響を受けています。若い世代のうちにHPV感染を防ぐことには、大きな意味があります。

17歳未満で接種を開始した人では、浸潤子宮頸がんのリスクが約88%低下

2020年に医学誌New England Journal of Medicineに発表されたスウェーデンの全国規模の研究では、約167万人の女性を対象に解析した結果、17歳未満で4価HPVワクチンを接種した人は、未接種者と比較して浸潤子宮頸がんの発症率が調整後約88%低いことが示されました。

これは前がん病変だけでなく、実際の子宮頸がんの発症を評価した重要な研究です。なお、この88%は当時の4価ワクチンについての結果であり、9価ワクチン(シルガード9)で測定された数値ではありません。

9価ワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPV型の約80~90%をカバーするとされています。感染前の若い時期に接種することが、予防効果を得るうえで重要です。

参考:スウェーデンの大規模研究(NEJM、2020年)

名古屋市の大規模研究「Nagoya Study」が示したこと

HPVワクチンの接種後に、慢性的な痛み、運動障害、記憶力の低下、強い倦怠感などの症状が報告され、社会的な不安が広がった時期がありました。しかし、症状が接種後に起きたというだけでは、ワクチンが原因とは判断できません。

そこで重要なのが、名古屋市立大学の鈴木貞夫先生らによる「Nagoya Study(名古屋スタディ)」です。

この研究では、名古屋市在住の女性71,177人を調査対象とし、回答のあった29,846人のデータを解析しました。接種後に問題視されていた24種類の症状について、ワクチン接種者と非接種者を比較しています。

その結果、24種類の症状のいずれについても、ワクチン接種者で症状の発生が統計学的に有意に増加する結果は認められませんでした。症状が重なって起きることや、通学への影響についても、接種との関連を支持する結果は認められませんでした。

研究者らは、HPVワクチンと報告された多様な症状との間に因果関係がないことを示唆する結果と結論づけています。「HPVワクチンを打つと、報道されたような多様な症状が増える」という主張は、この大規模調査によって支持されませんでした。

一部の症状について受診行動との統計的関連はみられましたが、それは症状そのものの発症増加やワクチンによる因果関係を示したものではありません。研究には調査方法上の限界があるものの、名古屋スタディは、日本の接種対象者に近い集団で不安の中心となった症状を検証した、非常に重要な疫学研究です。なお、調査対象は当時の2価・4価ワクチンであり、9価ワクチン単独の研究ではありません。

原著論文:Suzuki S, Hosono A. No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study. Papillomavirus Research. 2018.

日本語の公的資料:厚生労働省・名古屋市調査の概要(PDF)

副反応はあります。しかし、利益とリスクを比較することが大切です

どのワクチンにも副反応はあります。シルガード9では、注射した部位の痛みが比較的多く、腫れ、赤み、頭痛、発熱、疲労などが起こることがあります。注射の痛みや緊張をきっかけに失神する場合もあるため、接種後は座って安静にしていただきます。

頻度は不明ですが、重いアレルギー反応などの重い副反応も報告されており、接種後に気になる症状があれば適切な診察が必要です。安全性を説明することは、副反応が一切ないと言うことではありません。

一方で、接種後に起きた出来事をすべてワクチンのせいと考えるのも正確ではありません。名古屋スタディや国内外の研究結果を踏まえ、厚生労働省も、HPVワクチンの子宮頸がん予防効果などの利益は副反応などの不利益を上回るとして接種を推奨しています。

詳しくは厚生労働省「HPVワクチン」、HPVワクチンに関するQ&Aをご覧ください。

シルガード9の接種対象と接種回数(2026年度)

2026年4月から、定期接種で使用するHPVワクチンは9価ワクチン「シルガード9」です。定期接種の対象は、原則として小学6年生から高校1年生相当の女子で、公費による接種が受けられます。

  • 15歳になる前に1回目を接種:原則2回(通常6か月以上の間隔)。
  • 15歳になってから1回目を接種:原則3回(通常、初回・2か月後・6か月後)。
  • 定期接種の年齢を過ぎた方:任意接種が可能な場合があります。公費助成の対象は、自治体や過去の接種歴によって異なります。

以前に2価・4価ワクチンで接種を始めた方や、接種間隔が空いてしまった方も、最初からやり直すとは限りません。接種記録をご持参のうえ、ご相談ください。

接種しても、20歳からの子宮頸がん検診は大切です

HPVワクチンは子宮頸がんの原因となるすべてのHPV型を防ぐものではありません。ワクチンによる予防と、定期的な子宮頸がん検診の両方が重要です。接種済みの方も、自治体の案内に沿って検診を受けましょう。

院長からのメッセージ

私たちは、将来の子宮頸がんを防ぐ機会を、根拠の乏しい情報によって失ってほしくないと考えています。HPVワクチンの有効性は実際のがんの発症を調べた研究で確認されており、安全性についても、名古屋スタディをはじめとする大規模研究で検証されてきました。

当院は、科学的根拠に基づき、対象となる方へのHPVワクチン接種を積極的に推奨します。もちろん接種は強制ではありません。効果も副反応も十分に説明し、ご本人と保護者の方が納得して判断できるよう支援します。

名古屋市天白区でHPVワクチンの接種をご希望の方へ

接種のご相談は、梅が丘内科とアレルギーのクリニックまでお問い合わせください。ワクチンの在庫や予約方法、公費接種の対象となるかは事前にご確認ください。

電話:052-800-4680
所在地:名古屋市天白区梅が丘5丁目2603

当院のご案内:予防接種・ワクチン / 小児科 / クリニックトップページ


参考文献・公的情報

  1. Suzuki S, Hosono A. Nagoya Study. Papillomavirus Research. 2018. 原著論文
  2. Lei J, et al. HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer. N Engl J Med. 2020. 原著論文
  3. 厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」
  4. 厚生労働省「名古屋市調査の概要」

掲載内容は2026年11月時点の公表情報に基づきます。接種制度や予約方法は変更される場合があります。