アレルギー検査

 

1: アレルギーの血液検査

看護師が男性患者の血圧を測定しているイラスト。
アレルギーの原因になるものは、花粉やハウスダスト、食べ物、金属など、さまざまです。
自分がどんなものにアレルギーがあるのかを知っていれば、それを避けるように気をつけることができます。そうすれば、アレルギー症状が出るのを防ぎやすくなります。

アレルギーの症状は人それぞれですが、時にはアナフィラキシーショックのように、命に関わるほど強く出ることもあります。だからこそ、事前に検査をしておくことで、いざというときに落ち着いて対処できるのです。

アレルギーに悩む人にとって、アレルギー検査は大切な手がかりになります。自分の体のことを知ることが、安心して暮らすための第一歩なのです。

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2: アレルギー検査の流れ

  1. 問診表を記入する: アレルギー症状や発症時期、誘因などを記入します。
  2. 診察を受ける: 記入した問診を基にヒアリングを行い、必要に応じて視診します。
  3. 検査する: 血液を採取し、検査を行います。
  4. 検査結果の確認: 検査結果は約1週間後に確認できます。

3: アレルギーの血液検査の種類

アレルギー検査は、血液を採取して行います。当院では、以下の方法でアレルギーの血液検査を実施しています。

1: 個別のアレルゲン検査 (FEIA法)

牛乳に関連するアレルギー発症リスクを示したIgE抗体値のグラフ。1歳未満、1歳、2歳以上の3つの年齢区分があります。


出典:食物アレルギー研究会

アレルギーが疑われる原因を特定するために、症状から考えられるアレルゲンを選んで検査を行います。最大で13項目まで検査することができます。

特に食物アレルギーについては、この検査の数値が症状の予測に役立つとされています(プロバビリティーカーブ 図3-2)。ただし、食物アレルギーの正確な診断には、精密さが求められるため、簡易検査やセット検査では対応できません。本当に自分にどんなアレルギーがあるのかを知りたい方には、この検査をおすすめします。

また、アレルギー検査(特に成人)の結果は、大きく変わることが少ないため、過去の検査結果を参考にしながら、不要な項目を省くことも可能です。できるだけ費用を抑えつつ、必要な検査だけを受けたい方にも、この方法は適しています。

「毎年同じ症状に悩まされているけれど、どこまで検査すればいいのかわからない」「以前の検査結果があるけれど、追加で調べたい項目がある」という方も、お気軽にご相談ください。あなたに合った検査方法を一緒に考えていきましょう。

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2: セットアレルギー検査 (VIEW39)

Viewアレルギー検査で検出可能な39項目のアレルゲン一覧表。従来の36項目と新たに追加された3項目が含まれています。
「何にアレルギーがあるのかわからない。でも、毎年決まった時期に鼻水やくしゃみが止まらない。もしかして花粉症?」そんなふうに悩んでいる方に、おすすめの検査があります。

VIEW39 は、一度の少量の採血で、主要なアレルギーの原因となる39種類の物質を調べることができる血液検査です。「これってアレルギーなの?」「何に気をつければいいの?」と迷っている方にとって、アレルギーの原因を知る手がかりになります。

アレルギーの症状は人それぞれです。同じ花粉でも「スギ」なのか「ヒノキ」なのか、「ダニ」なのか「ハウスダスト」なのか、原因が違えば対策も変わってきます。

「とりあえず全部調べたい」「何が原因かはっきりさせて、できることをしたい」そんな方に、この検査はおすすめです。今まで原因がわからずに悩んでいたことが、少しでもクリアになると、毎日の生活も変わるかもしれません。

「アレルギーかもしれない」と感じたら、一度、検査を受けてみませんか?あなたが少しでも楽に過ごせるように、お手伝いできればと思います。

検査できる39種類のアレルゲン

吸入系・その他のアレルゲン
  • 室内塵:ヤケヒョウダニ、ハウスダスト
  • 動物:ネコ皮屑、イヌ皮屑
  • 昆虫:ガ、ゴキブリ
  • 樹木:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
  • 草本類:カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ
  • カビその他:アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア、ラテックス
食物アレルゲン
  • 卵:卵白、オボムコイド
  • 牛乳:ミルク
  • 小麦:小麦
  • 豆・穀物類:ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米
  • 甲殻類:エビ、カニ
  • 果物:キウイ、リンゴ、バナナ
  • 魚・肉類:マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉

※ 食物アレルギーの症状出現の予測には厳密には使用できません。

3: 末梢血の好酸球検査

「自分はアレルギー体質なのかな?」と思ったことはありませんか?
アレルギー体質かどうかを調べる方法のひとつに、末梢血の好酸球検査があります。

この検査では、血液中に含まれる「好酸球」と呼ばれるアレルギー反応に関わる細胞の数を測定します。好酸球が多いと、アレルギー体質である可能性が高く、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と関連していることがわかっています。

「くしゃみや鼻水が止まらないけど、風邪じゃない気がする…」
「皮膚がかゆくて、何をしても治らない…」
「喘息みたいな症状が続いているけど、原因がわからない…」

そんな方は、一度この検査を受けてみると、アレルギーが関係しているかどうかの手がかりになるかもしれません。アレルギーとうまく付き合っていくために、まずは自分の体質を知ることから始めてみませんか?

4: 血清総IgE値

アレルギーにはさまざまな種類がありますが、全体的なアレルギー反応の強さや体質を調べる方法のひとつに、血清総IgE値の測定があります。

これは、特定のアレルゲンに対する反応を見るのではなく、体全体のアレルギー傾向を知るための指標です。特に、アトピー体質(Ⅰ型アレルギー) の程度を測るのに使われます。

「花粉症や食物アレルギーを持っているけど、どのくらい強く反応しているのか知りたい」
「アレルギーが出やすい体質なのか、全体的な傾向を知りたい」
「子どもがアトピーかもしれないけれど、検査で何かわかるのかな?」

そんな疑問を持っている方に、この検査は役立つかもしれません。

ただし、血清総IgE値が高いからといって、必ずしも症状が出るわけではなく、逆に低くてもアレルギー症状が強く出る人もいます。そのため、検査結果だけで判断するのではなく、実際の症状や他の検査結果と合わせて考えることが大切です。

4: 血液検査以外のアレルギー検査

1:鼻汁好酸球検査

「この鼻水や咳、風邪なのかな? それともアレルギー?」
こんなふうに迷ったことはありませんか?

2~3月頃 になると、「ついに私も花粉症?」と不安になる方もいるでしょう。

小さなお子さんは鼻水や咳がよく出るため、保護者の方も
「これは花粉症? 鼻風邪? それとも喘息?」と悩むことが少なくありません。

大人になれば、「鼻がムズムズする」「目がかゆい」「喉が痛い」「夜になると咳が出る」など、細かい症状を伝えることができますが、
小さな子どもは自分の体の違和感をうまく説明できないことが多いものです。

「保育園に通っているし、鼻水が出るのは仕方ないかな…」と思っていたら、
実はアレルギー性鼻炎や咳喘息だった ということもあります。
逆に、「アレルギー性鼻炎や咳喘息かもしれない」と思って毎日薬を飲んでいたのに、
実際はアレルギーではなかった というケースもあります。

鼻汁好酸球検査とは?

こうした判断の助けになるのが、鼻汁好酸球検査 です。
鼻水の中に、アレルギー性鼻炎の際に増える 「鼻汁好酸球」 が含まれているかを調べる検査です。

この検査なら、鼻水を綿棒で拭うだけ なので、お子さんでも 痛みを感じることなく受けられます

検査後、鼻水に特殊な処理をして染色し、顕微鏡で好酸球の数を計測します。
結果がわかるまでに 約1週間 かかりますが、
アレルギーによる鼻水かどうかを判断する 重要な手がかり になります。

アレルギー性鼻炎の場合、約90%が鼻汁好酸球陽性 となる一方で、
ウイルス性の風邪など非アレルギー性疾患では陽性率が1~2%程度 しかありません。
そのため、「この鼻水はアレルギーなのか?」を判断する 良い指標 になります。

検査結果の見方と次のステップ

鼻汁好酸球が 陽性 だった場合、
その鼻水や咳嗽が アレルギーによるもの である可能性が高いことがわかります。

ただし、「何のアレルギーがあるのか?」まではわかりません。
しかし、 **時期や症状の特徴** から、おおよその原因を推測することはできます。

  • 2~4月の検査 なら → スギ花粉やヒノキ花粉の可能性が高い
  • 一年中鼻水や咳が続く なら → ダニアレルギーの可能性が高い

より詳しく調べるには、血液検査 でアレルゲンを特定する方法があります。

舌下免疫療法という選択肢

最近では、アレルギー性鼻炎や咳喘息の低年齢化 も指摘されており、2歳頃から発症する子 もいます。

アレルギーの治療は、**アレルゲンの回避** と **症状を抑える薬の服用** が基本ですが、
**スギ花粉やダニが原因のアレルギーの場合**、舌下免疫療法 という根本治療も選択肢の一つです。

「アレルギーかも?」 と気になったら、一度検査を受けてみませんか?
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

2:呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)検査

FeNO検査は、息を吐く際に含まれる一酸化窒素の濃度を測定する検査で、喘息などの気道の炎症を確認するために行われます。
痛みがなく、短時間で結果が出るため、簡単に実施できます。

測定方法

  • 息を吐くスピードや肺の状態によって結果が変わるため、測定時は条件を統一して行います。
  • NIOX MINO®やNObreath®などの専用機器を使用して測定します。

正常な値の見方

  • 値が低下 → 気道の炎症が改善している可能性
  • 値が上昇 → 喘息が悪化しているか、薬の使い方が不十分な可能性

注意点

  • この検査は喘息の補助診断として役立ちますが、治療薬の調整には限界があります。
  • 吸入ステロイド薬(ICS)を使用している場合や喫煙している場合、FeNOの値が低く出ることがあります。

当日15分程度で結果が出ます。

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