ものわすれ外来

物忘れ外来

高齢者は複数の慢性疾患を抱えていることが多く、薬物療法においても副作用が顕在化しやすいという特有の課題があります。当クリニックでは、老年医学の専門知識を基に、高齢者の全人的な健康管理を提供し、認知症診療をはじめとした包括的なケアを行っています。目標は、患者が可能な限り自立した生活を維持できるよう、治療および生活支援を通じて機能的な向上を目指すことです。

認知症の種類

認知症は原因疾患により以下のように分類され、それぞれ異なる病態と進行メカニズムを持っています:

  • アルツハイマー型認知症: 脳内におけるアミロイドβタンパクの蓄積や神経原線維変化が主な病因です。進行は緩徐で、記憶障害が初期症状として顕著です。
  • 脳血管型認知症: 脳血管障害に起因するもので、多発性脳梗塞や微小出血が関与します。症状は段階的に悪化し、局所的な神経機能の低下が見られます。
  • レビー小体型認知症: αシヌクレインタンパクの異常蓄積によるレビー小体が特徴で、認知機能の変動、パーキンソン症候群、幻視が主な症状です。
  • 前頭側頭型認知症: 前頭葉や側頭葉の萎縮が原因で、初期から人格変化や行動異常が顕著に現れます。

軽度認知障害(MCI)

MCI(Mild Cognitive Impairment: 軽度認知障害)は、認知症へと進行する可能性のある中間状態を指します。具体的には、記憶や思考、意思決定能力の一部に軽度の障害が見られるものの、日常生活には大きな支障を及ぼしていない状態です。最新の研究では、MCIと診断された場合でも、適切な介入によって認知機能の維持や改善が期待できることが示されています。

認知機能の低下に対しては、薬物療法のほかに、非薬物的アプローチも重視されます。これには、認知機能トレーニングや運動療法、社会的交流の促進などが含まれ、包括的なケアによって症状の進行を抑制することが目指されています。

認知機能の維持と改善

認知機能を維持・改善するためには、以下のような生活習慣の見直しが有効です:

  • 食習慣の改善: 地中海式ダイエットなど、抗炎症作用のある栄養素を豊富に含む食事が脳の健康に寄与します。
  • 定期的な運動: 有酸素運動や筋力トレーニングは、血流を促進し、脳の神経可塑性を高める効果が期待されます。
  • 社会的交流: 他者との対話や集団活動は、神経ネットワークの維持に役立ちます。社会的孤立を防ぐことも重要な要素です。
  • 認知的刺激: 読書、パズル、ボランティア活動など、頭を使う習慣を取り入れましょう。これにより、認知機能の劣化を防ぐことが可能です。

物忘れや認知症に関するご相談、専門的な検査については、診療時間内で随時受け付けています。お気軽にお問合せください。

物忘れ外来担当医

藤沢 知里(名古屋大学医学部老年内科学講師)

診療日: 第2, 4, 5週 火曜日 午前