肺炎の症状・原因・治療 

肺炎とは?症状・原因・診断・治療・予防|肺炎球菌ワクチンも解説

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原微生物によって肺に炎症が起こる病気です。

「風邪だと思っていたら、肺炎になっていた」ということも珍しくありません。特に高齢者では、高熱や激しい咳などの典型的な症状が目立たず、食欲低下や元気がないといった症状だけで肺炎が見つかることもあります。

肺炎は軽症で外来治療できる場合もありますが、重症になると酸素投与や入院治療が必要になることがあります。

また、肺炎は「原因となる菌を調べてから治療する」病気ではありません。外来診療では、検査結果を待っている間にも病状が進む可能性があるため、症状や診察、胸部レントゲン・CT、血液検査などから肺炎の可能性と重症度を判断し、必要な治療を早めに開始します。

当院では、呼吸器内科を専門とする院長が、肺炎を含めた呼吸器疾患の診療を行っています。

【内部リンク:呼吸器科・呼吸器内科】


1.肺炎とは?

肺炎は、肺の中にある肺胞などに炎症が起こる感染症です。

肺炎の原因となる病原微生物には、細菌、ウイルス、マイコプラズマなどがあります。

代表的なものとして、

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌
  • 黄色ブドウ球菌
  • マイコプラズマ
  • インフルエンザウイルス
  • 新型コロナウイルスなどの呼吸器ウイルス

があります。

一方、「間質性肺炎」「薬剤性肺炎」など、名前に「肺炎」とついていても感染症ではない病気があります。

「肺炎」という言葉だけでは、どのような病気なのか判断できないため、症状や画像検査などから原因を見極めることが重要です。


2.肺炎の症状

肺炎では、次のような症状がみられます。

  • 発熱
  • 咳
  • 痰
  • 息苦しさ
  • 胸の痛み
  • 強い倦怠感
  • 食欲低下
  • 寒気、悪寒
  • 呼吸が速くなる

典型的には、発熱や咳、痰、息苦しさなどがみられます。

ただし、すべての人に同じ症状が出るわけではありません。

高齢者では「肺炎らしくない」ことがあります

高齢者では、肺炎になっても高熱や強い咳が目立たないことがあります。

例えば、

  • 食事をとらなくなった
  • 急に元気がなくなった
  • いつもよりぼんやりしている
  • 歩くのがつらくなった
  • 息切れが増えた

といった変化が、肺炎のサインであることがあります。

「熱がないから肺炎ではない」とは限りません。

特に高齢者や持病のある方で、急に体調が悪くなった場合には、肺炎を含めた感染症を考える必要があります。


3.肺炎の原因

肺炎の原因は、大きく分けると細菌、ウイルス、マイコプラズマなどの病原微生物によるものがあります。

細菌性肺炎

細菌による肺炎です。

代表的な原因菌として肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などがあります。

成人の市中肺炎では肺炎球菌は重要な原因菌の一つで、厚生労働省の資料では、成人の市中肺炎の約2~3割が肺炎球菌性肺炎とされています。

【厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」】

ウイルス性肺炎

インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなど、さまざまなウイルスによって肺炎が起こります。

インフルエンザでは、ウイルスそのものによる肺炎だけでなく、感染後に細菌性肺炎を合併することもあります。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は、**Mycoplasma pneumoniae(肺炎マイコプラズマ)**という病原体によって起こる肺炎です。

子どもから若い成人に比較的多くみられますが、大人でも発症します。

マイコプラズマ肺炎では、咳が長く続くことが特徴です。

最初は発熱やだるさなど、風邪のような症状から始まり、その後に咳が強くなってくることがあります。咳が数日から長期間続き、夜間に咳がひどくなることもあります。

一方で、症状だけでは普通の風邪や他の感染症と区別できないこともあります。

肺炎が疑われる場合には、診察に加えて胸部レントゲンなどの画像検査を行い、必要に応じてマイコプラズマの検査を行います。

マイコプラズマ肺炎では、一般的な細菌性肺炎に使用する抗菌薬が効かないことがあります。そのため、年齢、症状、流行状況、検査結果などを総合して治療薬を選択します。

特に、

  • 熱が下がっても咳が続く
  • 咳が日に日に強くなっている
  • 夜も咳が続いて眠れない
  • 家族や学校、職場などで同様の症状の人がいる
  • 若い人で強い咳が長く続いている

といった場合には、マイコプラズマ肺炎も考える必要があります。

ただし、「咳が長い=マイコプラズマ」とは限りません。

咳喘息、気管支喘息、百日咳、ウイルス感染後の咳など、ほかにも長引く咳の原因はあります。

「風邪だと思っていたのに咳だけがいつまでも続く」という場合には、一度呼吸器内科で相談することをおすすめします。

【長引く咳】

【咳喘息】

【咳人(せきんちゅ)外来】

 

誤嚥性肺炎

食べ物や唾液などが誤って気管に入り、肺に炎症を起こす肺炎です。

高齢者、脳卒中の後遺症がある方、嚥下機能が低下している方などでは、誤嚥性肺炎を繰り返すことがあります。


4.肺炎はどのように診断する?

肺炎の診断では、症状だけでなく、身体診察、胸部画像、血液検査などを組み合わせて判断します。

胸部レントゲン

肺炎では、肺の中に炎症による白い影が現れることがあります。

そのため、肺炎が疑われる場合には胸部レントゲン検査が重要です。

ただし、肺炎の初期や病変の場所によっては、レントゲンだけでは判断しにくいこともあります。

胸部CT

必要に応じて胸部CT検査を行います。

CTではレントゲンよりも細かく肺の状態を確認できるため、

  • 肺炎の有無
  • 肺炎の広がり
  • 肺膿瘍などの合併症
  • 肺がんなど他の病気

を調べる際に役立ちます。

【呼吸器内科の検査】

血液検査

白血球数やCRPなどの炎症反応を確認します。

血液検査は肺炎の有無だけでなく、炎症の程度や全身状態を評価し、治療方針を決める際にも役立ちます。


5.喀痰検査は必要?「原因菌が分かってから治療」ではありません

肺炎の診療では、必要に応じて痰を採取し、細菌を調べることがあります。

しかし、ここは誤解されやすいところです。

肺炎では、原因菌が最後まで分からないことも珍しくありません

市中肺炎では、喀痰培養などの検査を行っても、原因となった病原体を特定できないことがあります。

また、培養検査は結果が出るまで時間がかかります。

そのため、

「痰の検査結果が出るまで治療を待つ」わけではありません。

肺炎が疑われれば、

  • 症状
  • 身体診察
  • 胸部レントゲンやCT
  • 血液検査
  • 患者さんの年齢や基礎疾患
  • 肺炎の重症度
  • 耐性菌などのリスク

などを総合的に判断し、その時点で治療方針を決めます。

細菌性肺炎が疑われ、抗菌薬が必要と判断すれば、検査結果を待たずに治療を開始します。

その後、喀痰培養などの検査結果が分かった場合には、その結果を参考にして抗菌薬を変更したり、継続の必要性を見直したりします。

つまり、

「まず患者さんの状態を診て治療を開始する → 検査結果が出れば治療を調整する」

という考え方が基本です。

すべての肺炎で喀痰培養を行うわけでもありません。重症例や特定の耐性菌が疑われる場合など、結果が治療方針に影響すると考えられるケースで検査を行います。

【日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」】


6.肺炎の治療

肺炎の治療は、原因や重症度によって異なります。

細菌性肺炎

細菌性肺炎が疑われる場合には、抗菌薬を使用します。

外来で治療できる軽症~中等症の肺炎であれば、内服薬による治療が可能なこともあります。

一方、

  • 酸素の値が低い
  • 呼吸が苦しい
  • 血圧が低下している
  • 意識状態が悪い
  • 広範囲の肺炎がある
  • 重い基礎疾患がある

などの場合には、入院治療が必要になることがあります。

マイコプラズマ肺炎の治療

マイコプラズマ肺炎では、マクロライド系の抗菌薬が第一選択となります。

ただし、マイコプラズマにはマクロライド系抗菌薬が効きにくい「マクロライド耐性菌」があります。日本でも地域や時期によって耐性率には差があります。

そのため、マクロライド系の抗菌薬を開始しても、48~72時間程度たっても解熱しない、症状が改善しないといった場合には、マクロライド耐性マイコプラズマを考える必要があります。

その場合には、成人では**テトラサイクリン系抗菌薬(ミノサイクリンなど)**や、レスピラトリーキノロンへの変更を検討します。

ただし、抗菌薬を変更する場合には、マクロライド耐性だけでなく、本当にマイコプラズマ肺炎なのか、肺炎が悪化していないか、別の感染症ではないかなども含めて判断する必要があります。

ミノマイシンには年齢による注意があります

ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)はマイコプラズマに有効な抗菌薬ですが、8歳未満の小児では原則として使用を避けます。

これは、テトラサイクリン系抗菌薬では、発育中の歯に歯の着色(歯牙着色)やエナメル質形成への影響が起こる可能性があるためです。

そのため、特に小児のマイコプラズマ肺炎では、年齢を考慮しながら抗菌薬を選択します。

一方、成人ではミノサイクリンがマクロライド耐性マイコプラズマに対する治療選択肢となります。

なお、レスピラトリーキノロンもマイコプラズマに有効ですが、耐性菌を増やさないためにも、必要性を考えて適切に使用することが重要です。日本感染症学会などの合同見解でも、成人のマクロライド耐性例ではテトラサイクリン系を第一選択、レスピラトリーキノロンを第二選択とする考え方が示されています。

ウイルス性肺炎

インフルエンザなど、原因によっては抗ウイルス薬を使用します。

一方、ウイルスの種類によっては特別な抗ウイルス薬がなく、酸素投与や水分補給などの対症療法が中心となる場合もあります。

酸素療法

肺炎によって血液中の酸素が不足している場合には、酸素吸入が必要になります。

重症の場合には入院して、より高度な呼吸管理が必要になることもあります。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎では、肺炎そのものの治療だけではなく、

  • 誤嚥の原因を調べる
  • 嚥下機能を評価する
  • 口腔内を清潔に保つ
  • 食事の形態を調整する
  • 必要に応じて嚥下訓練を行う

など、再発を防ぐ対策も重要です。


7.肺炎を予防するには?

肺炎を完全に防ぐことはできませんが、発症や重症化のリスクを下げるためにできることがあります。

① 肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は、成人の市中肺炎や高齢者の重症肺炎の重要な原因菌です。

特に高齢者では、肺炎球菌ワクチンを検討することが重要です。

② インフルエンザワクチン

インフルエンザは、それ自体が肺炎を起こすだけでなく、感染後に細菌性肺炎を合併することがあります。

そのため、インフルエンザワクチンも肺炎予防という意味で重要です。

【内部リンク:インフルエンザワクチンをいつ接種する?】

③ 手洗い・感染対策

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症を予防することも、肺炎の予防につながります。

手洗い、換気、必要に応じたマスクなど、基本的な感染対策を行いましょう。

④ 禁煙

喫煙は気道や肺の防御機能を低下させ、呼吸器感染症にかかりやすくする要因になります。

また、COPDがある方では、肺炎などの呼吸器感染症が重症化しやすくなることがあります。

禁煙は肺炎予防のためにも重要です。

【内部リンク:禁煙外来】

⑤ 口腔ケア・誤嚥予防

特に高齢者では、口腔内の細菌が誤嚥によって肺に入り、肺炎を起こすことがあります。

歯磨きなどの口腔ケアや、嚥下機能に応じた食事を心がけることが大切です。


8.高齢者の肺炎球菌ワクチンは「5年ごと」ではありません

ここは、以前の情報と現在の制度が大きく変わっているため注意が必要です。

以前は高齢者の肺炎球菌ワクチンとして23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)が定期接種に使用されていました。

しかし、2026年4月から、高齢者の定期接種に使用されるワクチンはPCV20(プレベナー20)に変更されました。

厚生労働省によると、2026年度以降の高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種では、PCV20を1回筋肉内に接種します。

定期接種の対象は、

  • 65歳の方
  • 60~64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害、またはHIVによる免疫機能障害があり、一定の条件を満たす方

です。

「65歳以上なら毎年接種する」というものでもありません。

また、

「肺炎球菌ワクチンは5年間しか効かないので、5年ごとに接種する」

という以前の説明を、そのまま現在の制度に当てはめることはできません。

過去に肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、接種したワクチンの種類や時期によって考え方が変わります。

以前の接種歴が分かる場合は、母子手帳ならぬ「ワクチン手帳」や接種記録などを確認して、医療機関にご相談ください。

【厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」】


9.PCV20「プレベナー20」とは?

2026年4月から高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種に使用されているのが、20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)です。

商品名はプレベナー20です。

肺炎球菌には100種類以上の血清型があります。

PCV20は、そのうち20種類の血清型を対象とするワクチンです。

厚生労働省によると、PCV20が対象とする20種類の血清型は、成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因となる血清型の約5~6割を占めるとされています。

また、PCV20は、従来のPPSV23とは免疫を獲得する仕組みが異なります。

そのため、2026年4月から高齢者の定期接種に用いるワクチンがPPSV23からPCV20へ変更されました。

患者が旅行前の予防接種を受けている様子


10.新しいPCV21「キャップバックス」もあります

現在、成人に使用できる肺炎球菌ワクチンには、PCV20だけでなく、**21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21)「キャップバックス」**もあります。

PCV21は、2025年に日本で承認された成人用の肺炎球菌結合型ワクチンです。

ただし、ここは重要です。

2026年4月以降の高齢者の定期接種に使用されるのはPCV20であり、PCV21ではありません。

つまり、

  • 高齢者の定期接種 → PCV20(プレベナー20)
  • 成人に使用できる別の肺炎球菌ワクチン → PCV21(キャップバックス)

という違いがあります。

PCV20とPCV21は、単純に「21価だからPCV21の方が優れている」と考えるものではありません。

これまでの接種歴、年齢、基礎疾患、肺炎球菌感染症のリスクなどを踏まえて、どのワクチンを使用するのが適切かを判断します。

また、PCV21については、2026年時点で高齢者の定期接種に採用されているわけではありません。

【厚生労働省「成人に使用可能な肺炎球菌ワクチンについて」】


11.肺炎球菌ワクチンは本当に意味がある?

肺炎球菌ワクチンについて考えるうえで参考になる大規模研究があります。

スウェーデンのストックホルム県で行われた研究では、65歳以上の約26万人を対象に、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種を行った集団と、接種していない集団を比較しました。

その結果、ワクチン接種群では、

  • 肺炎による入院が29%少なかった
  • 肺炎球菌性肺炎による入院が36%少なかった
  • 侵襲性肺炎球菌感染症による入院が52%少なかった
  • インフルエンザによる入院が46%少なかった

という結果が報告されています。

ただし、この研究はインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを組み合わせた大規模な予防接種事業を評価した研究です。

そのため、「肺炎球菌ワクチンだけで肺炎入院が29%減った」という意味ではありません。

それでも、高齢者において、インフルエンザと肺炎球菌に対する予防接種を行うことが、肺炎や重症感染症を減らすうえで有用であることを示す重要な研究です。

【PubMed「Effects of a large-scale intervention with influenza and 23-valent pneumococcal vaccines in adults aged 65 years or older」】


12.インフルエンザワクチンも肺炎予防につながります

インフルエンザは、高齢者や基礎疾患のある方では重症化することがあります。

また、インフルエンザ感染をきっかけに、細菌性肺炎を合併することもあります。

そのため、

「インフルエンザワクチンはインフルエンザを防ぐためだけのもの」ではありません。

インフルエンザ感染そのものや、その後に起こる合併症を減らすことも、肺炎予防という観点から重要です。

当院ではインフルエンザワクチンの接種も行っています。

【インフルエンザワクチンの接種時期について】


13.肺炎と「風邪」はどう違う?

風邪は、主に鼻や喉などの上気道に起こる感染症です。

一方、肺炎では肺の中に炎症が起こります。

風邪の多くは自然に改善しますが、風邪をきっかけに肺炎を起こすことがあります。

特に、

  • 高熱が続く
  • 咳が強くなってきた
  • 黄色や緑色の痰が増えた
  • 息苦しい
  • 胸が痛い
  • 強い倦怠感がある
  • 高齢者で急に食欲や元気がなくなった

といった場合には、単なる風邪ではなく肺炎の可能性があります。


14.肺炎で受診したほうがよいのはどんなとき?

次のような症状がある場合には、早めに医療機関を受診してください。

  • 高熱が続いている
  • 咳や痰がひどくなっている
  • 息苦しさがある
  • 胸が痛い
  • 呼吸が速い
  • 酸素飽和度が低い
  • 強い倦怠感がある
  • 水分がとれない
  • 高齢者で急に元気がなくなった

特に息苦しさが強い、意識がおかしい、唇が紫色になるなどの症状がある場合は、重症肺炎やその他の緊急性の高い病気の可能性があります。


15.肺炎に関するQ&A

肺炎に関するQ&A

Q1.肺炎は風邪をこじらせたものですか?

A.必ずしもそうではありません。

肺炎は、肺の中にある「肺胞」という空気を取り込む場所に炎症が起こる病気です。細菌、ウイルス、マイコプラズマなどさまざまな原因があります。

風邪のような症状から始まって肺炎になることもありますが、最初から肺炎として発症することもあります。

特に、咳が長く続く、熱が続く、息苦しい、強いだるさがあるといった場合には、単なる風邪と思い込まず、一度診察を受けることをおすすめします。


Q2.肺炎になると必ず高熱が出ますか?

A.いいえ。高熱が出ない肺炎もあります。

特に高齢者では、肺炎になっていても高熱が出なかったり、典型的な症状が目立たなかったりすることがあります。

「熱がないから肺炎ではない」とは言い切れません。

咳や痰、息苦しさ、呼吸が速い、食欲がない、普段より元気がないなどの症状も重要です。


Q3.肺炎はレントゲンですぐ分かりますか?

A.多くの場合、胸部レントゲンで肺炎の有無を確認できます。

ただし、肺炎の初期や病変の場所によっては、レントゲンでははっきりしないことがあります。

そのような場合には、胸部CT検査を行うことで、より詳しく肺の状態を確認できます。

当院では症状や診察所見を踏まえて、必要に応じて検査を行います。


Q4.肺炎の原因は、痰の検査をすれば分かりますか?

A.必ず原因菌が分かるわけではありません。

肺炎では喀痰(かくたん)を検査することがありますが、実際には検査をしても原因となる微生物を特定できないことは少なくありません。

また、細菌の培養検査には結果が出るまで時間がかかります。

そのため、肺炎の治療は、喀痰培養の結果が出るまで待ってから始めるものではありません。

症状、診察所見、胸部レントゲンやCT、血液検査などを総合して、原因や重症度を推定しながら治療を開始します。

後から培養結果が判明した場合には、その結果をもとに抗菌薬を変更したり、必要性を再検討したりすることがあります。


Q5.マイコプラズマ肺炎は若い人だけがかかる病気ですか?

A.いいえ。大人もかかります。

マイコプラズマ肺炎は、特に子どもや若い世代でみられますが、大人にも起こります。

発熱やだるさの後に咳が長く続くことが特徴の一つですが、普通の風邪やほかの感染症と症状だけで区別することはできません。

咳がなかなか治らない場合には、マイコプラズマ肺炎なども考えて診察する必要があります。


Q6.マイコプラズマ肺炎には、普通の抗菌薬が効きますか?

A.抗菌薬の種類によって効果が異なります。

マイコプラズマには細胞壁がないため、一般的なペニシリン系やセフェム系の抗菌薬は効果がありません。

マクロライド系抗菌薬などを使用しますが、近年はマクロライドが効きにくいマイコプラズマも一定数みられます。

治療を開始しても改善しない場合には、耐性の可能性を考えて、テトラサイクリン系などへの変更を検討することがあります。


Q7.肺炎になったら、必ず入院が必要ですか?

A.いいえ。軽症であれば外来で治療できる肺炎も多くあります。

一方で、酸素が必要なほど呼吸状態が悪い場合、意識状態に問題がある場合、重い脱水がある場合などには、入院治療が必要になることがあります。

年齢、基礎疾患、呼吸状態、血液検査の結果などを総合して、外来治療が可能か判断します。


Q8.肺炎は人にうつりますか?

A.肺炎そのものがすべて人にうつるわけではありません。

肺炎の原因が細菌やウイルスなど、感染する微生物による場合には、その病原体が人から人へ感染することがあります。

一方、誤嚥性肺炎など、基本的に人から人へ感染しない肺炎もあります。

「肺炎だからうつる」というわけではなく、何が原因で肺炎になっているかによって異なります。


Q9.肺炎球菌ワクチンを一度受けたら、5年ごとに受ければいいですか?

A.現在の高齢者の定期接種については、「5年ごと」という考え方ではありません。

2026年4月から、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種に使用されるワクチンは、これまでの23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)から、**20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20:プレベナー20)**に変更されました。

定期接種の対象や、過去の接種歴によって扱いが異なるため、「5年たったからもう一度」という単純な考え方ではなく、現在の接種歴を確認することが大切です。


Q10.肺炎球菌ワクチンを受ければ、肺炎にはかからなくなりますか?

A.肺炎を完全に防ぐワクチンではありません。

肺炎には、肺炎球菌以外にもさまざまな細菌、ウイルス、マイコプラズマなど、多くの原因があります。

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンです。

また、肺炎球菌感染症の中でも、特に重症化しやすい侵襲性肺炎球菌感染症などを予防することが重要です。


Q11.インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンは、両方受けたほうがいいですか?

A.それぞれ予防する病気が異なるため、目的が違います。

インフルエンザワクチンはインフルエンザを予防するためのワクチン、肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンです。

インフルエンザに感染した後に肺炎を合併することもあるため、特に高齢者などでは、両方のワクチンを検討する意味があります。

接種対象や過去の接種歴を確認したうえで、適切なワクチンを選択しましょう。


Q12.咳が続いています。肺炎かどうか分からない場合でも受診していいですか?

A.もちろんです。

肺炎かどうかは、症状だけでは判断できないことがあります。

特に、

  • 咳が長く続いている
  • 発熱が続いている
  • 痰が増えた、黄色や緑色の痰が出る
  • 息苦しい
  • 胸が痛い
  • 強いだるさがある
  • 高齢者で、急に食欲や元気がなくなった

といった場合には、肺炎の可能性も考えて診察を受けることをおすすめします。

「肺炎かどうか分からないから受診しにくい」と考える必要はありません。症状を確認し、必要な検査を行ったうえで判断します。


Q13.肺炎かなと思ったら何科を受診したらいいですか?

肺炎は呼吸器内科で診療する病気です。

発熱や咳、痰、息苦しさなどがある場合は、内科や呼吸器内科を受診してください。

当院では、呼吸器内科を専門とする院長が、肺炎を含めた呼吸器疾患を診療しています。

【呼吸器科】


16.肺炎かな?と悩んだら、まずご相談ください

肺炎は、単なる風邪と症状が似ていることがあります。

一方で、肺炎の場合には早めに診断して治療を開始したほうがよいケースがあります。

「風邪なのか肺炎なのか分からない」

「熱と咳が続いている」

「痰が増えてきた」

「息苦しさがある」

「高齢の家族の元気が急にない」

このような場合は、自己判断で長く様子を見すぎないことが大切です。

当院では、胸部レントゲン、血液検査などを必要に応じて行い、肺炎の診断と重症度の評価を行っています。

重症で入院が必要と判断される場合には、適切な病院への紹介を行います。


梅が丘内科とアレルギーのクリニックの呼吸器診療

当院では、咳、喘息、肺炎、COPD、肺がん、間質性肺炎など、さまざまな呼吸器疾患を診療しています。

院長は呼吸器を専門としており、長引く咳や息苦しさなどの症状について、必要な検査を行いながら診断・治療を行います。

【呼吸器科】

【長引く咳】

【咳喘息】

【咳人(せきんちゅ)外来】

【呼吸器内科の検査】


肺炎かな?と悩んだら

「風邪なのか肺炎なのか分からない」

「咳がひどくなってきた」

「熱が続いている」

「痰が増えてきた」

「息苦しい」

という場合は、まずご相談ください。

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参考情報

  • 厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」
  • 厚生労働省「令和8年4月以降の高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの定期接種について」
  • 厚生労働省「成人に使用可能な肺炎球菌ワクチンについて」
  • 日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」
  • PubMed「Effects of a large-scale intervention with influenza and 23-valent pneumococcal vaccines in adults aged 65 years or older」