気管支喘息

気管支喘息は、呼吸器の慢性的な炎症によって、気道が狭くなる病気です。息苦しさや咳、胸の圧迫感が主な症状として現れます。季節の変わり目やアレルギー反応で悪化することが多く、小児から高齢者まで幅広い年齢層に影響を与えます。

 

喘息というと子どもの病気というイメージがあるかもしれませんが、小児喘息を大人になるまで持ち越したり、大人になってから再発したりすることもあります。また、子どもの頃に喘息がなかった人が、大人になってから発症するようなケースもあります。

 

気管支喘息のように笛のような呼吸音や呼吸困難を伴わないものの、2週間以上咳が続く、夜に咳がひどくなって眠れないなどの症状がある場合、咳喘息の可能性もあります。気になる方は、呼吸器内科やアレルギー科を受診してみましょう。

主な症状

  • 息苦しさや喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューといった音)
  • 夜間や早朝に悪化する乾いた咳
  • 胸の圧迫感や息切れ

喘息の気道

喘息の気道イメージ図

喘息の気道は、炎症によって狭くなり、正常な呼吸が妨げられます。下記の画像と説明を参考に、喘息による気道の変化をご確認ください。

正常な気管支

正常な気管支

正常な気管支は、空気の通り道が広く、スムーズに呼吸ができます。気道は炎症がなく、筋肉がリラックスした状態です。

気道炎症

気道炎症

気道の内側がアレルギー反応や感染症によって赤く腫れ、炎症が起こった状態です。炎症により粘液が多く分泌され、空気の通り道が狭くなり、息苦しさを感じることがあります。

喘息発作

喘息発作

気道の炎症が悪化し、気道が急激に狭くなる状態です。発作が起こると、激しい咳や息切れ、喘鳴(ゼーゼー音)が現れ、緊急対応が必要になることがあります。発作の原因には、アレルゲン、運動、寒さ、ストレスなどが含まれます。

リモデリング

リモデリング

長期間にわたって気道が炎症を繰り返すと、気道の壁が厚くなり、気道の構造が変化する「リモデリング」が起こります。これにより気道が永久に狭くなることがあり、呼吸機能が低下します。適切な治療でリモデリングを防ぐことが重要です。

喘息原因

最も一般的な原因はアレルゲンの吸入です。その他、運動誘発性や寒冷刺激、解熱鎮痛剤、香辛料などでも気道が狭くなります。

喘息の検査

喘息の正確な診断と効果的な治療のためには、いくつかの検査が必要です。これらの検査は、呼吸機能や気道の炎症の状態を評価し、治療の効果を測定するのに役立ちます。以下の検査方法をご紹介します。

  • ピークフロー
  • 肺機能検査
  • 呼気一酸化窒素検査
  • 胸部写真検査
  • 血液検査

患者がピークフローメーターで呼吸機能を測定する計器

ピークフロー(PEF)

ピークフローは、呼吸機能を簡単に測定できる検査です。ピークフローメーターという器具を使って、息を吐き出す速さ(ピークフロー値)を測定します。数値の変動を記録することで、喘息症状の管理や悪化の予兆を早期に発見することが可能です。

肺機能検査で呼吸の測定を行う患者

肺機能検査

肺機能検査では、スパイロメーターを使用して呼吸量や気流速度を測定します。この検査により、気道の狭窄の程度や肺活量を正確に評価でき、喘息の重症度や治療の有効性を判断するために重要です。

呼気中の一酸化窒素濃度を測定する機器

呼気一酸化窒素検査

呼気一酸化窒素(FeNO)検査は、気道の炎症を数値で示すことができる非侵襲的な検査です。喘息患者は、気道の炎症により呼気中の一酸化窒素濃度が高くなることが多いため、この検査は喘息の診断や治療効果の評価に役立ちます。

胸部X線画像と画像を診断する医師

胸部写真検査

胸部写真検査(X線検査)は、肺や気道の状態を視覚的に確認するための検査です。気道の狭窄、肺の過膨張、他の肺疾患の有無を診断し、喘息と他の呼吸器疾患を区別するのに役立ちます。

血液検査のために採血した血液の入った容器の画像

血液検査

血液検査では、アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)の特定や炎症反応を調べます。好酸球の数やIgE抗体のレベルを測定することで、アレルギーの有無や喘息の重症度を把握し、適切な治療計画を立てるための情報を得られます。

治療方法

  • 薬物治療: 長期管理薬と発作時の治療に分かれます。長期管理薬は毎日使用することで症状を予防し、発作時の治療薬は急な発作を抑えるために使います。
  • 生活習慣の改善: アレルゲンの回避や適切な環境管理は、症状の軽減に大きく役立ちます。運動や健康的な食生活も重要です。
  • 禁煙: 喘息の症状を悪化させる大きな要因である喫煙をやめることは、治療の一環として非常に重要です。

吸入器がテーブルに整然と並べられている画像

薬物治療

薬物治療は、気道の炎症を抑える長期管理薬と、急な発作時に気管支を拡げる治療薬に分かれます。長期管理薬は毎日の使用が必要であり、喘息の根本的なコントロールに役立ちます。一方、発作時の治療薬は、発作が起きた際に速やかに症状を緩和します。

生鮮食品、運動靴、運動器具、聴診器がテーブルの上に並べられた画像

生活習慣の改善

生活習慣を見直すことは、喘息の予防と管理において非常に重要です。アレルゲン(ダニ、花粉、ペットの毛など)を避けること、室内の空気を清潔に保つこと、そしてバランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることで、症状を軽減できる可能性があります。健康的な習慣は、免疫力を向上させ、発作を予防する助けとなります。

タバコを手で拒絶している様子

禁煙

禁煙は、喘息の悪化を防ぐために必須です。喫煙は気道を刺激し、炎症を引き起こしやすくします。また、副流煙も喘息の症状を悪化させる原因となります。自身の健康だけでなく、家族や周囲の人々を守るためにも、禁煙を決断することが求められます。必要に応じて禁煙サポートを利用することも検討しましょう。

気管支喘息と日常生活

  • 家の中のほこりやダニの除去を徹底しましょう。カーペットや布製ソファの使用を避け、空気清浄機を活用すると効果的です。
  • 禁煙をしましょう。喫煙は自身の健康に害を及ぼすだけでなく、家族の健康にも悪影響を及ぼします。
  • アレルゲンを避ける工夫を行いましょう。例えば、花粉が飛散する季節には窓を閉めたり、外出時はマスクを着用しましょう。
  • 定期的な受診で、症状が安定しているかを確認しましょう。医師の指導のもとで適切な治療を継続することが大切です。

部屋の掃除

家の中のほこりやダニの除去

喘息の症状を抑えるためには、家の中を清潔に保つことが重要です。ほこりやダニは喘息を悪化させる要因となるため、床をこまめに掃除し、寝具を定期的に洗濯しましょう。空気清浄機を活用することで、室内の空気質を向上させることができます。

禁煙できた日を記入しているカレンダー

禁煙

喫煙は喘息の悪化を引き起こす大きな要因です。自身が喫煙者の場合は禁煙を目指し、家族が喫煙者の場合も室内での喫煙を控えてもらいましょう。副流煙も喘息に悪影響を与えるため、家庭内での禁煙を徹底することが求められます。

空気清浄機の使用

アレルゲンを避ける工夫

アレルゲンを避けるためには、季節や環境に応じた対策が必要です。花粉が多い季節は窓を閉めて空気清浄機を使用したり、ペットの毛がアレルゲンになる場合はこまめに掃除をすることが重要です。また、帰宅後は衣服をすぐに着替え、シャワーを浴びることで体に付着した花粉を除去しましょう。

医師が患者のカルテを指して説明している場面。

定期的な受診

喘息の症状が安定しているかどうかを確認するためには、定期的に医療機関を受診することが大切です。医師は最新の治療方法を提供し、症状の進行を防ぐためのアドバイスをしてくれます。また、自分の状態に合った治療計画を見直すことで、より効果的な管理が可能になります。

お知らせ

当院ではAI技術を導入し、より質の高い医療を提供しております。診療の精度向上や、患者様に合わせた治療の提案が可能となりました。

ご予約

診療科: 呼吸器科, 喘息外来, 咳人外来

院長講演会

令和5年3月13日(月曜日)名古屋市高齢者就業支援センターにて「ぜん息って何?-治療から自己管理まで-」を当クリニック芝﨑正崇院長が講演をいたしました。名古屋市の市内在住・在勤(在学)の多くの方にご参加いただきました。皆様ご清聴ありがとうございます。ご興味のある方は、ご一読ください。何かのご参考になれば幸いです。講演会の詳細はこちらをクリック。