好酸球とは?数値が高い原因とアレルギー・喘息、FeNOとの関係

好酸球 アレルギー検査血液検査で「好酸球が高い」と指摘されたことはありませんか?

好酸球(こうさんきゅう)は白血球の一種で、アレルギー性炎症や寄生虫に対する免疫反応などに関わる細胞です。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などとの関連が知られています。

また、喘息の診療では、血液中の好酸球数だけでなく、吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定する「FeNO(呼気一酸化窒素濃度)」も重要な検査です。これらの検査は、気道に好酸球性炎症が起きている可能性を評価し、治療方針を検討する際に役立ちます。

近年では、好酸球や関連する免疫反応を標的とした生物学的製剤(抗体医薬)も登場し、重症喘息の治療選択肢が広がっています。

この記事では、好酸球の働き、数値が高くなる原因、FeNOとの違い、アレルギー検査との関係について解説します。

好酸球とは?

好酸球は、好中球やリンパ球などと同じ白血球の一種です。骨髄でつくられ、血液中を流れながら、必要に応じて組織に移動して免疫反応に関わります。

好酸球には、主に次のような働きがあります。

  • 寄生虫などに対する免疫反応に関わる
  • アレルギー性炎症に関与する
  • 炎症に関わる物質を放出し、組織に影響を与える

好酸球は体を守る免疫機能の一部ですが、過剰に活性化すると、気道などの組織に炎症や障害を引き起こすことがあります。

つまり、好酸球は体に必要な細胞である一方、増加したり過剰に活性化したりすると、病気の発症や悪化に関与することがあります。

医師国家試験の豆知識:好酸球は約3%?

白血球の種類と割合は、医師国家試験の勉強でも覚える項目です。

好酸球は「約3%」と覚えることがあります。「好酸球だから3%」という語呂合わせ的な覚え方をした方もいるかもしれません。

ただし、これは白血球全体に占める割合の目安です。実際の検査では個人差や検査施設の基準範囲があり、割合だけでなく、好酸球の実数も重要です。

好酸球の数値が高い原因

血液検査で好酸球が増加していた場合、主に次のような原因が考えられます。

1.アレルギー疾患

気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などでは、好酸球が増加することがあります。

特に、好酸球が気道の炎症に関わるタイプの喘息では、血液中の好酸球数が病態の評価や治療方針を検討する際の参考になります。

ただし、アレルギー疾患があっても好酸球が増えない場合があります。また、好酸球が高いことだけで、アレルギー疾患と診断することはできません。

2.寄生虫感染

一部の寄生虫感染では、好酸球が増加します。海外渡航歴、食事歴、生活環境などが診断の手がかりになることがあります。

3.薬剤による影響

薬剤によって好酸球が増加することがあります。発疹、発熱、肝機能障害などを伴う場合には、薬剤による過敏反応にも注意が必要です。

4.その他の病気

好酸球が著しく増加している場合や、高値が長期間続いている場合には、血液疾患、免疫に関わる病気、好酸球が関与する臓器の病気なども考慮します。

好酸球の増加が続く場合や、発熱、発疹、息切れなどの症状がある場合には、医療機関で原因を調べることが重要です。

好酸球の数値だけでは原因を特定できません。 増加の程度や持続期間、症状、服用中の薬、ほかの検査結果などを合わせて判断します。

参考:MSDマニュアル家庭版「好酸球の病気」

好酸球とアレルギーの関係

好酸球、抗体療法

好酸球は、アレルギー性炎症のなかでも「2型炎症」と呼ばれる免疫反応に深く関わっています。

2型炎症は、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などに関係する免疫反応です。IL-4、IL-5、IL-13などのサイトカインと呼ばれる物質が重要な役割を果たします。

サイトカインとは、免疫細胞などが産生し、細胞同士の情報伝達を担う物質です。

IL-4・IL-5・IL-13の働き

IL-4・IL-13:アレルギー反応や気道の炎症に関与

IL-4やIL-13は、IgE抗体の産生や気道の粘液分泌などに関わります。これらの働きが過剰になると、アレルギー性炎症や喘息の症状につながることがあります。

IL-5:好酸球の分化・成熟や生存を支える

IL-5は、好酸球がつくられ、維持され、活性化する過程に重要な役割を果たします。そのため、IL-5の働きが強まると、好酸球が増加し、炎症に関与しやすくなります。

このように、好酸球は単独で働くのではなく、さまざまな免疫細胞やサイトカインと相互に作用しながら、炎症の発症や持続に関わっています。

好酸球とFeNO(呼気一酸化窒素濃度)の関係

喘息の診療では、血液中の好酸球数と並んで、FeNO(エフイーノー)という検査が重要です。

FeNOは、英語の「Fractional exhaled Nitric Oxide」の略で、日本語では「呼気一酸化窒素濃度」と呼ばれます。吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定することで、気道の炎症を評価するための手がかりが得られます。

FeNO検査で何がわかる?

喘息のうち、IL-4やIL-13などが関わる2型炎症では、気道上皮細胞で一酸化窒素が産生されやすくなります。そのため、FeNOが高い場合は、気道に2型炎症、特に好酸球性炎症が存在する可能性が考えられます。

FeNO検査には、次のような特徴があります。

  • 吐いた息を測定するため、採血をせずに検査できる
  • 気道の好酸球性炎症を評価する手がかりになる
  • 喘息の診断や、治療による炎症の変化を評価する際に役立つ

FeNOは喘息の診断や治療方針の検討に有用ですが、数値だけで喘息と診断したり、重症度を決めたりすることはできません。

また、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などでも高値になることがあります。喫煙や吸入ステロイド薬の使用なども測定値に影響するため、症状やほかの検査結果と合わせて判断します。

好酸球数とFeNOはどう違う?

どちらも喘息の炎症を評価するために役立ちますが、調べているものが異なります。

血液中の好酸球数

採血によって、血液中にどれくらい好酸球が存在するかを調べます。全身の好酸球の状態を把握する手がかりとなり、喘息の病態評価や生物学的製剤の選択などにも利用されます。

FeNO

吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定します。気道の2型炎症、特に好酸球性炎症の存在を推定するために役立ちます。

両者は関連していますが、必ずしも同じ結果になるわけではありません。血液中の好酸球数が高くてもFeNOが高くない場合や、反対にFeNOが高くても血液中の好酸球数が高くない場合があります。

そのため、喘息の診療では、症状、呼吸機能検査、FeNO、血液中の好酸球数などを組み合わせて評価します。

参考:

好酸球と喘息の関係

気管支喘息では、気道に慢性的な炎症が生じ、咳、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさなどの症状が現れます。

喘息のなかには、好酸球が炎症に深く関わるタイプがあります。このような場合、血液中の好酸球数やFeNOは、病態を評価し、治療方針を検討する際の参考になります。

ただし、好酸球が増えている喘息だけが存在するわけではありません。好酸球性炎症が目立たないタイプの喘息もあり、好酸球数やFeNOが低いことだけで喘息を否定することはできません。

また、喘息の診断には、症状の経過や呼吸機能検査なども重要です。好酸球数やFeNOは、あくまで診断や病態評価を補助する検査として活用します。

好酸球やアレルギー性炎症を標的とした抗体治療

近年、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの治療は進歩しています。従来の治療だけでは十分な効果が得られない患者さんに対して、生物学的製剤(抗体医薬)が使用されることがあります。

喘息で使用される主な薬剤には、次のようなものがあります。

  • 抗IL-5抗体・抗IL-5受容体抗体: 好酸球の増加や働きに関わる経路を標的とします。
  • 抗IL-4受容体抗体: IL-4とIL-13に関わるシグナルを抑えます。
  • 抗IgE抗体: IgEを介したアレルギー反応を抑えます。
  • 抗TSLP抗体: 炎症反応の上流に関わるTSLPを標的とします。

これらは同じ仕組みで働く薬ではなく、それぞれ標的とする分子や対象疾患が異なります。

どの薬剤が適しているかは、喘息の症状や増悪歴、これまでの治療経過、血液中の好酸球数、FeNO、IgEなどを踏まえて判断します。

好酸球数やFeNOが高いという理由だけで、抗体治療の対象になるわけではありません。 吸入治療などの基本的な治療を適切に行っているかを確認し、疾患ごとの適応条件に基づいて検討する必要があります。

吸入薬などを使用していても喘息症状が続く方や、増悪を繰り返す方では、重症喘息として専門的な評価が必要になる場合があります。

重症喘息の特徴や生物学的製剤を含む治療については、当院の解説ページをご覧ください。

治らない喘息に悩む方へ|重症・難治性喘息と最新治療

参考:

好酸球検査とアレルギー検査はどう違う?

好酸球の検査と、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を調べる検査は、目的が異なります。

好酸球検査

血液中の好酸球の割合や実数を調べます。

アレルギー性炎症などが関係しているかを考える手がかりになりますが、どの物質がアレルギーの原因なのかを特定する検査ではありません。

特異的IgE検査

スギ花粉、ダニ、ハウスダスト、食物など、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を調べる検査です。

症状や生活環境と検査結果を照らし合わせることで、アレルギーの原因を検討する際に役立ちます。

ただし、特異的IgE抗体が陽性でも、必ずしもその物質によって症状が起こるとは限りません。実際の症状や経過を踏まえて判断します。

好酸球・FeNO・特異的IgEの違い

  • 好酸球数: 血液中の好酸球の状態を調べる
  • FeNO: 気道の2型炎症、特に好酸球性炎症を評価する手がかりを得る
  • 特異的IgE: 特定のアレルゲンに対するIgE抗体の有無や量を調べる

それぞれ異なる情報が得られるため、症状や疑われる病気に応じて使い分けます。

アレルギー検査をご希望の方へ

アレルギーの原因を調べたい場合には、症状や発症時期、疑われる原因などに応じて、適切な検査を選ぶことが重要です。

当院では、診察のうえで必要に応じて、特異的IgE検査、VIEW39、末梢血の好酸球検査などを検討しています。喘息の診療では、必要に応じてFeNOや呼吸機能検査なども活用し、症状や炎症の状態を評価します。

次のような場合には、医師にご相談ください。

  • 健康診断などで好酸球が高いと指摘された
  • 花粉症やダニアレルギーなどの原因を調べたい
  • 咳や喘鳴、息苦しさが続いている
  • 喘息の治療を続けているが、症状が十分に改善しない

アレルギー検査の種類や特徴、検査でわかることについては、以下のページをご覧ください。

アレルギー検査|VIEW39・特異的IgE検査など

名古屋市天白区の梅が丘内科とアレルギーのクリニックでは、呼吸器疾患やアレルギー疾患の診療を行っています。好酸球の数値が高いと指摘された方、喘息やアレルギー症状でお困りの方は、検査結果だけで自己判断せず、ご相談ください。

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