舌下免疫療法|スギ花粉症・ダニアレルギーの治療

舌下免疫療法のイメージ。錠剤を舌の下に置いて治療する方法を紹介スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎で、毎年の鼻水・くしゃみ・鼻づまりに悩んでいませんか?

舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)は、アレルギーの原因となる物質を少量から継続して投与し、体を徐々に慣らしていく治療法です。症状を抑える薬とは異なり、アレルギー反応そのものを変化させ、長期的な症状の改善を目指します。

名古屋市天白区の梅が丘内科とアレルギーのクリニックでは、治療を始める前に症状とアレルギー検査の結果を確認し、舌下免疫療法が適しているかを慎重に判断します。

このページのポイント

  • 対象はスギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎です。
  • 治療前に症状と特異的IgE抗体検査などを確認します。
  • 治療期間は一般に3~5年です。
  • 治療終了後も効果の持続が期待できますが、再発することもあります。
  • スギ花粉症の開始用製剤「シダキュア2,000JAU」は、供給状況によって開始をお待ちいただく場合があります。

舌下免疫療法とは?

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンを含む薬を舌の下に置いて服用する治療法です。少量から始め、決められた方法で毎日継続することで、アレルゲンに対する過剰な免疫反応を和らげることを目指します。

日本では、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が行われています。

治療薬対象となるアレルギー主な症状
シダキュアスギ花粉症花粉飛散期のくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど
ミティキュアダニによるアレルギー性鼻炎一年を通じた鼻水、くしゃみ、鼻づまりなど
アシテアダニによるアレルギー性鼻炎一年を通じた鼻水、くしゃみ、鼻づまりなど

※ミティキュアとアシテアはいずれもダニ舌下免疫療法の薬です。どちらを使用するかは、診察のうえで判断します。

当院が治療前のアレルギー検査を重視する理由

舌下免疫療法は、一般に3~5年という長期間にわたって続ける治療です。毎日薬を服用し、定期的に通院する必要があるため、開始前に治療の対象となるアレルゲンをできるだけ明確にしておくことが大切です。

例えば、春に鼻水やくしゃみが出る場合、スギ花粉症が疑われます。しかし、ヒノキなど別の花粉が関係していることもあります。また、一年中鼻炎症状がある場合でも、ダニだけでなく、ほかのアレルゲンや非アレルギー性の鼻炎が原因となっていることがあります。

症状から原因が疑われても、それだけで舌下免疫療法を開始することはしません。症状が出る時期や生活環境を確認し、血液検査で原因となるアレルゲンへの感作を確認したうえで、治療の適応を判断します。

治療前に確認すること

  • 鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状
  • 症状が出る時期や、一年を通じた症状の有無
  • スギやダニなどに対する特異的IgE抗体検査の結果
  • 現在使用している薬と、その効果
  • 喘息などの合併症や、治療を行ううえでの注意事項

特異的IgE抗体検査は、アレルゲンへの感作を確認するための検査です。ただし、検査が陽性であることだけで、必ずしもそのアレルゲンが症状の原因と確定するわけではありません。実際の症状や経過と照らし合わせて判断します。

以前にアレルギー検査を受けている方は、その結果をお持ちください。検査結果や症状の経過を確認し、必要に応じて追加検査を検討します。

アレルギー検査について詳しくはこちら

花粉症の原因を調べる血液検査では、スギやヒノキなど、疑われる花粉に対する特異的IgE抗体を個別に調べる方法があります。一方、VIEW39では、花粉以外のダニや食物などを含む39項目をまとめて調べられます。症状や検査の目的に応じた使い分けについては、VIEW39と個別IgE検査の違い・費用・選び方をご覧ください。

舌下免疫療法の効果

舌下免疫療法では、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状の軽減や、症状を抑える薬の使用量の減少が期待できます。症状や生活への影響が改善することで、日常生活の負担を軽くできる可能性があります。

ただし、効果の現れ方には個人差があります。治療を受けた方全員に十分な効果が得られるわけではなく、症状が完全になくなることを保証する治療でもありません。

スギ花粉症:治療終了後にも効果が持続するエビデンス

スギ花粉舌下錠については、3年間の治療と、その後2年間の経過観察を行った臨床試験が報告されています。

3年間継続して治療した群では、治療3年目のスギ花粉飛散ピーク時に、鼻症状と薬物使用を合わせたスコアがプラセボ群に比べて46.3%低下しました。さらに、治療終了後も4年目に45.3%、5年目に34.0%低い状態が認められました。

これは、適切な期間の治療を続けることで、治療終了後にも効果が持続する可能性を示すデータです。ただし、この数値は試験における群間のスコアの比較であり、患者さんの症状がそれぞれ46.3%、34.0%改善するという意味ではありません。

出典:Disease-Modifying Effect of Japanese Cedar Pollen Sublingual Immunotherapy Tablets(臨床試験報告)

ダニアレルギーの場合

ダニ舌下免疫療法でも、治療を継続することでアレルギー性鼻炎の症状改善が期待できます。一方、治療終了後にどの程度効果が持続するかについては、スギ花粉症と同じように一律の再発率で説明することはできません。

治療は3~5年。途中でやめないことが大切です

舌下免疫療法は、短期間だけ薬を服用して終わる治療ではありません。一般に3~5年間の継続が推奨されます。

治療を始めてしばらくすると症状が改善することがあります。しかし、症状が軽くなったからといって、自己判断で中止すると、期待した長期的な効果が十分に得られない可能性があります。

  • 毎日、決められた方法で服用する
  • 定期的に受診し、副作用や症状の変化を確認する
  • 飲み忘れや中断があった場合は、再開方法を医師に確認する
  • 治療期間や終了時期は、効果と継続状況を踏まえて相談する

治療をやめたら、再発するのでしょうか?

治療終了後も効果が持続する方はいますが、全員が長期間症状のない状態を保てるわけではありません。治療終了後に症状が再び強くなることもあります。

スギ花粉症では、前述の臨床試験で3年間の治療終了後、2シーズンにわたる効果の持続が確認されています。しかし、これは「再発する人が何%いるか」を直接示したデータではありません。

治療終了後の再発率については、治療薬、治療期間、患者さんの状態、再発の定義などによって結果が異なります。そのため、スギ・ダニの舌下免疫療法をまとめて「終了後の再発率は○%」と示すことは適切ではありません。

治療を終了したあとも、症状の変化に注意してください。再び鼻水やくしゃみなどが強くなった場合は、通常の薬物療法を含めて治療方針を見直します。必要に応じて、舌下免疫療法を再開できるかも含めて医師に相談してください。

治療の開始時期と流れ

  1. 診察・問診
    症状の種類、発症時期、生活への影響、これまでの治療などを確認します。
  2. アレルギー検査
    スギやダニなどの特異的IgE抗体検査を確認し、症状と検査結果を総合して適応を判断します。
  3. 治療薬の選択と説明
    治療期間、期待できる効果、副作用、毎日の服用方法について説明します。
  4. 初回投与
    初めての服用は医療機関で行い、服用後の状態を確認します。
  5. 自宅での継続と定期受診
    指示された用法で毎日服用し、症状や副作用を確認しながら治療を続けます。

スギ花粉症の治療開始時期

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散している時期には新たに開始できません。一般には花粉飛散期が終わった後に開始を検討します。

開始時期はその年の花粉飛散状況や製剤の供給状況によっても変わります。希望される方は早めにご相談ください。

ダニ舌下免疫療法の開始時期

ダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法は、スギ花粉症とは異なり、通常、特定の花粉飛散期を避ける必要はありません。ただし、症状や合併症、体調などを確認したうえで開始時期を決めます。

シダキュア2,000JAUの供給について

スギ花粉症の舌下免疫療法を新たに希望される方へシダキュア2,000JAUは、治療開始時に使用する増量期用の製剤です。需要の増加などにより、供給が制限される場合があります。

そのため、当院でも在庫や入荷状況によっては、検査や診察を済ませていても、治療開始までお待ちいただく場合があります。

一方、シダキュア5,000JAUは維持期に使用する製剤です。すでに治療を継続中の方と、新たに治療を始める方とでは影響が異なることがあります。

供給状況は変化するため、治療開始をご希望の方は受診時にご確認ください。

副作用と注意点

舌下免疫療法は自宅で継続できる治療ですが、副作用が起こる可能性があります。

比較的よくみられる副作用

  • 口の中や舌の下のかゆみ、腫れ
  • 唇や口の中の違和感
  • のどの刺激感や不快感
  • 耳のかゆみ
  • 胃の不快感、腹痛など

こうした症状は、治療開始後の早い時期にみられることがあります。症状が強い場合や長く続く場合は、自己判断で服用を続けず、医師に相談してください。

まれですが、重いアレルギー反応にも注意が必要です

頻度は高くありませんが、アナフィラキシーなどの全身性のアレルギー反応が起こる可能性があります。息苦しさ、声のかすれ、強いのどの腫れ、全身のじんましん、意識が遠のくなどの症状が現れた場合は、直ちに救急対応が必要です。

治療を始める前に医師への相談が必要な方

  • 喘息がある方、とくに症状が不安定な方
  • 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 免疫系の病気がある方、免疫に影響する薬を使用している方
  • 妊娠中、妊娠の可能性がある方、授乳中の方
  • 口の中に傷や炎症がある方、歯科治療を受けている方
  • 服用中の薬がある方

これらに該当する場合でも、状況によって判断が異なります。自己判断で治療を開始せず、必ず診察時にお知らせください。

よくある質問

Q. 舌下免疫療法を受ければ花粉症は完全に治りますか?

A. 症状の改善や、治療終了後も効果が持続することが期待できます。ただし、効果には個人差があり、症状が完全になくなることや、再発しないことを保証する治療ではありません。

Q. どのくらいで効果が出ますか?

A. 効果が現れるまでの期間には個人差があります。数か月で変化を感じる方もいますが、十分な効果を評価するには、長期間継続して経過をみる必要があります。

Q. 3~5年の治療が終われば、もう通院しなくてよいですか?

A. 治療終了後も症状が再び強くなる可能性があります。終了時には症状の状態を確認し、その後も必要に応じて診察や治療を受けてください。

Q. アレルギー検査でスギやダニが陽性なら、治療を始められますか?

A. 検査が陽性であるだけでは、治療の適応は決まりません。実際の症状や経過と検査結果を照らし合わせ、原因アレルゲンとして適切かを確認します。

Q. 以前受けたアレルギー検査の結果は使えますか?

A. 過去の検査結果が参考になることはあります。検査内容や実施時期を確認し、必要に応じて追加検査を検討します。以前の検査結果をお持ちの方は、受診時にご提示ください。

Q. スギとダニの舌下免疫療法を同時に受けられますか?

A. 併用を検討する場合はありますが、すべての方に適しているわけではありません。安全性や治療の進め方を考慮する必要があるため、医師にご相談ください。

Q. シダキュア2,000JAUが不足している場合はどうすればよいですか?

A. 入荷状況によっては、治療開始をお待ちいただくことがあります。まず診察で治療の適応を確認し、開始できる時期についてご相談ください。自己判断で増量期用と維持期用の薬を置き換えることはできません。

Q. 舌下免疫療法を続けると、スギやダニの特異的IgE抗体価は下がりますか?

A. 必ずしも下がるわけではありません。

舌下免疫療法では、治療開始後に原因アレルゲンに対する特異的IgE抗体価が一時的に上昇することがあります。その後、長期間の治療によって低下する場合もありますが、症状が改善していても抗体価が高いままのことがあります。

スギ花粉症を対象とした臨床研究でも、舌下免疫療法の開始後にスギ特異的IgE抗体価が上昇することが報告されています。

そのため、抗体価が下がっていないから治療が効いていない、あるいは抗体価が下がったから治療が成功した、と判断することはできません。

治療効果は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状、日常生活への影響、症状を抑える薬の使用状況などをもとに評価します。特異的IgE抗体価を効果判定のために定期的に測定することは、通常必要ありません。

当院では、治療開始前に症状とアレルギー検査の結果を確認し、原因アレルゲンを慎重に判断したうえで治療を検討します。

参考文献・外部リンク

– スギ花粉舌下免疫療法の長期効果を検討した臨床試験 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34333190/

– スギ舌下免疫療法中の特異的IgE・IgG4抗体価の変化を検討した研究 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1323893017301065

関連ページ・参考情報

名古屋市天白区で舌下免疫療法をご検討の方へ

舌下免疫療法は、長期間にわたって取り組む治療です。治療を始めるかどうかは、症状だけでなく、アレルギー検査の結果、期待できる効果、副作用、毎日継続できるかどうかなどを踏まえて判断することが大切です。

梅が丘内科とアレルギーのクリニックでは、スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎について、症状と検査結果を確認しながら治療方針をご相談します。

「毎年花粉症がつらい」「ダニによる鼻炎が一年中続く」「舌下免疫療法が自分に適しているか知りたい」という方は、ご相談ください。

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※本ページは一般的な医療情報を提供するものであり、個々の患者さんの診断や治療方針を決定するものではありません。治療の適応や開始時期は、診察のうえで判断します。

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