運動誘発喘息(アスリート喘息)exercise-induced-asthma


運動誘発喘息(アスリート喘息)とは

運動誘発喘息とは、運動すると一時的に気管支が縮まり、呼吸が苦しくなる現象のことです。この時には呼吸機能も低下し、
ヒューヒューとぜん鳴が出てくることもありますが、早めに呼吸を整えれば長く続くことは滅多になく、ほとんどの場合5~10分で治まります。

強い運動ほど起きやすく、長く続けるような運動の時に起きやすいといわれています。また、運動する際の温度や湿度が低い場合や、
喘息が重い場合にも起きやすくなります。

運動終了後6〜12時間たってから症状が出る遅延型反応も知られています。遅延型反応の場合には、運動誘発喘息と気づかないことがあるため注意が必要です。

運動誘発性喘息を起こしやすいスポーツ

運動誘発性喘息は換気量が多くなる耐久競技の方が、非耐久競技(瞬発力を競う競技)と比較して起こりやすいといわれています。
喘息の人にとって不向きであると言われているのは、ジョギング、サッカー、バスケットボール、マラソンなど持久力が必要で、
寒い時期に屋外で行うスポーツです。

しかし、持久力が必要なスポーツでも「水泳」だけは、喘息患者さんにもおすすめできます。室内の温水プールなら、外で行う運動と比べて
リスクが激減します。また、水泳は湿度が十分に保たれ、気道の水分が失われにくいことも理由の一つです。

運動誘発喘息の検査と診断

運動をするたびに、咳込みや息切れのような症状が起こる場合は、運動誘発喘息を疑います。
運動誘発喘息の場合、運動をしていないときには検査で異常が出ないことが多いです。そのため、
実際にランニングなどの運動負荷をかけて症状がでるかを記録していただくことで診断できます。

肺機能検査やピークフロー検査をする「運動負荷試験」を行うことで診断する場合もあります。

運動誘発喘息の治療と予防

薬による治療

運動誘発喘息が起こるということは、普段の喘息のコントロールが不良である可能性が高いです。
日頃から吸入ステロイドや長期作用型気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などの長期管理薬を使い、
喘息をコントロールしておくことが重要です。プロのアスリートでは一部の薬剤の使用に制限があるため、
事前の申請(除外措置申請:TUE)が必要になる場合があります。

運動誘発喘息は予防できるか

ウォーミングアップ後、短時間での強い運動負荷を避ける、湿度や気温が極端に低い場所での運動を避けるなどが推奨されています。
また、気管支拡張薬を事前に吸入することも予防策として有効です。

運動制限は必要か

運動誘発性喘息があっても、適切な治療を行えば発作は起こりにくくなります。治療を行えばスポーツを諦める必要はありません。
早めに医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。

参考:労働者健康福祉機構(現・労働者健康安全機構)『喘息をもつメタボリックシンドロームの方への運動療法』